トイレの話  
〜学校のトイレはなぜ怖い?〜 



 家では問題なくトイレに行く子どもが、学校ではトイレに行けず、家に帰るまで我慢する、という話をときどき小学校に行っている子どもを持つ保護者から耳にすることがあります。学校でトイレに行くことが恥ずかしいとか、トイレに行けばからかわれたり、ひどい時にはいじめの対象になりうるという「恐怖」が子どもたちをトイレから遠ざけている原因であるようです。たぶん「小さい方」の時は問題ないのですが、「大きい方」をしたくなったときに子どもたちは大きなストレスを感じるのだと思います。
 このような心的な問題ともう一つトイレに行きにくい要因として学校のトイレの状態があります。学校のトイレでよく指摘される問題点は5K(汚い、くさい、暗い、怖い、壊れている)だといわれています。これは、もちろん全ての学校が当てはまるわけではありませんが、学校でおばけが出る場所はどこと聞けば、多くの子どもたちがトイレというのではないでしょうか。子どもたちにとって学校のトイレというのは様々な意味で「怖い場所」なのかもしれません。

快適なトイレ環境を目指して



 このような状態を改善し、子どもたちがトイレを安心して使用できるようにすることはとても大事なことです。そのためにはまず、排泄というのは自然な生理現象であり、格好悪いことでも恥ずかしいことでもないということを教えていく必要があるでしょう。また、トイレをいつも明るく、きれいで、安心して利用できる場所にしていくことも忘れてはなりません。
 本園では、子どもたちが安心してトイレを使用できるようトイレの環境に配慮しました。そのために導入したのがドライシステムです。従来のウエット方式だとトイレを清掃するたびに水を大量に使います。これがトイレをじめじめした、なんとなく暗い場所というイメージを作り出している原因になっているように思えます。
 ドライシステムは、トイレの清掃時に大量に水を使う必要がなく、ほとんどの清掃はモップなどを使い完了します。また、水を大量に使わないドライシステムにすることにより、トイレの入り口にある段差をなくすことができました。さらに、トイレの明るさや色合い、材質などを保育室と同じようにすることにより、他の部屋と一体感のある空間を作りだしています。これによりトイレに行くことによって生み出される孤立感をできるだけ少なくすることが可能となります。また、便器は全て洋式とし、年齢に応じたサイズを用意することにより子どもたちが安心して利用できるようにしました。
 トイレは保育園の子どもたちが日に何度も利用するとっても大事な場所です。特別な場所ではなく、保育室と同じように安心して時間を過ごせる場所としていきたいと思います。

 
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